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インスタントと、無くなった途中
インスタントは溶けるという意味だった。だが誰も溶けるほうを言わない。すぐ、と言い続けた末広商店街で、並んでいたはずの途中だけが人から抜け落ちていく。
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山の日と、終わらない上り
山の日は山に行く日だと、みなが言った。決まりのどこにもそう書いていない。それでも像はそちらで揃った。行かなかった者の足元から、上りだけが増え始めた。
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裏切り者と、書き換わる「これまで」
裏切り者とは、背いた者を指す語である。はじめから敵だった者、という意味は含まれていない。それでも像はそう揃い、呼ばれた者の過去の記述だけが、はじめからそうであった形に整った。
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残暑と、数え終わらない残り
もう残暑だから、と人々は言い合った。残暑という語には終わりの保証が含まれていない。それでも像は、終わりのほうで揃った。残りを数え始めた者は、数え終わらなくなった。
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捕ったことになっているもの
手に入った時点で捕ったことになる、と人は思っている。黙の三週目、河川敷に掌のかたちをした空きが現れた。渡したものは一度収まり、着いた拍子に必ず落ちる。落ちた先は、どこにも無い。