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当選確実の席は、数え終わる前に埋まる
町内会の役員選びの開票で、「当選確実」と呼ばれた人の隣に、まだ数え終わっていない票の席ができる。「確実」を「もう決まった」と誤解した人々の声が、その席を埋めていく。
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統計の日、辞書のお籠もりで眠った人が重複として除かれる
「統計の日には町の全員が数え直され、同じ人が二人いれば眠っている方が除かれる」という像が鴇江市で広まった夜、辞書の追い込み中の宿泊所に数え手が来る。人は除かれないと正しく知る編者…
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貯蓄の日、貯金箱の工場で検品係の声が箱に貯まる
「貯蓄の日に入れたものは中で増える」という像が鴇江市で広まった夜、貯金箱工場のラインで生産数が計画を追い越した。増えないと正しく示した検品係の声が、箱の中へ移っていく。
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焼き鳥のタレ、継ぎ足しの壺に沈んだまま戻らない店の子
「焼き鳥のタレ」を頼む言い方が鴇江市で揉めた週、屋台の継ぎ足しの壺に、漬けたものが薄まらずに残り始めた。最初のタレはもう一滴もないと正しく計算した店の子が、味見のあと戻らなくなっ…
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階段降りは出席番号順に ダム湖へ続く九段の石段
階段降りは出席番号順。最後に降りた子が一番大きく変身し、降りた段には戻れない。そんな約束を交わしたダンス部の舞台に、湖へ続く濡れた石段が現れる。
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応募完了、処分場の門に同じ作業着の係が半券を取りに来る
応募完了と出たら、済んだのは応募ではなく自分そのもの。鴇江で一晩に広まったその絵のとおり、受付からちょうど一日後の朝、セメント工場の若い作業員の前に、同じ作業着の係が半券をちぎり…
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化石の日、望遠鏡の中にだけ石の蛾が降りてくる
化石の日の夜に星を見上げたまま止まると、石の粉が降ってからだが岩に写しとられる。鴇江の高校の屋上で、接眼レンズの中にだけ見える灰色の蛾が、天文部の生徒の手を石に変えはじめた。
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きのこの日、採石場の赤い岩から白い傘が人を摘む
鴇江のきのこの日は、きのこが人を狩る日だと町じゅうが言う。採石場の奥、恐竜の足あとが並ぶ赤い砂岩の上で、許可なく入った作業員の足が白い糸に覆われ、岩に根を張りはじめた。