三度目だけが決まる

三度目だけが決まる

語現体末広町看取り

「二度、外したんです」と、その人は言った。二度。二度目までは外れる。三度目は決まる。そう言うあいだ、彼の指は膝の上で三回、同じ間隔を刻んでいた。わたしはその間隔を書き取り、彼が四回目を刻まないことを確かめた。刻まなかった。

末広町の運動公園に、七月十九日の午後、十四人がいた。十四人が同じ順序で話した。一度目は外れる。二度目も外れる。三度目だけが決まる。誰ひとりそれを不吉だとは言わなかった。彼らは一度目と二度目を、三度目のための支払いだと考えていた。支払い、と彼らは言った。安いものです、とも言った。わたしは十四人を数えた。数え直した。三度目にも十四人だった。

語の来歴では、それは三つ続けて成功した者に後から贈られた呼び名にすぎない。三度目に何かが約束されているわけではない。約束されていないと知っている者が、公園にひとりいた。管理人である。彼は数えなかった。数えないので、どれが一度目で、どれが二度目で、どれが三度目なのか、彼の内側では決まらなかった。決まらないものは、終わらない。

顕れたものに姿はなかった。あったのは順番である。夕方、フェンス際で、ひとりの子どもが投げた。外れた。もう一度投げた。外れた。三度目に、決まった。歓声が上がった。誰も、外れた二度を損だと思っていない。わたしは数えた。一度目、外れ。二度目、外れ。三度目、決まり。十四人ぶんを数えて、四十二回のうち二十八回が外れていた。比率は語現の前と少しも変わっていない。変わったのは並び順だけである。それを説明しても、誰も外れを取り戻したいとは言わなかった。説明された者は一度うなずき、二度うなずき、三度目にはもう別の話をしていた。

十九日の夜、公園の外にも順番は出た。券売機で二度つづけて硬貨が戻り、三度目に切符が出る。呼び鈴が二度鳴らず、三度目に鳴る。名を二度呼ばれず、三度目に振り向く。人々はそれを幸運の作法として受け入れ、二度ぶんの空振りを行事のように待つようになった。待つあいだ、彼らは楽しそうだった。加害はここにある。誰の悪意もなく、十四人が同じ順序を口にしただけで、支払いの制度ができあがっていた。

管理人のことを書く。彼の一度目が、いつ始まったのか誰も知らない。彼は外し続けた。門扉の鍵が入らない。伝票の桁が合わない。呼んだ相手が振り返らない。外れが何度目なのか誰も数えないので、三度目が来ない。三度目が来ないので、支払いが終わらない。終わらないので、彼はまだ払っている。わたしは彼の隣に座って、代わりに数えようとした。数えられなかった。序数は他人が外から貼れるものではないらしい。彼は鍵束を持ち上げ、また下ろした。持ち上げ、下ろした。持ち上げ、下ろした。わたしはそれを三度と書きかけて、書けなかった。三度と書いた瞬間に彼へ三度目が与えられてしまうのか、それとも与えられないのか、判断する材料をわたしは持っていない。持っていないまま、鉛筆の先を止めた。

看取りに移った。回数に向かって、何と呼ばれたいですかと尋ねた。一度尋ねた。二度尋ねた。返ってきたのは短い言葉で、同じ言葉が二度返り、三度目にはもう返らなかった。書き取らずに置いた。第四課にできるのは延命でも解除でもなく、隣に座っていることだけである。座っていたのは、一度。二度。三度目に、公園の灯が落ちた。落ちてからも、順番は続いていた。フェンスの向こうで硬いものが二度、地面を打ち、三度目の音が来なかった。来ないまま、わたしは十分ほど待った。待ちながら、管理人が最初に外したものは何だったのだろうと考えた。考えても、彼に一度目を与えることにはならない。与えられるのは、彼を数える誰かだけである。そういう誰かは、この街にはいない。

二十日の朝には、公園でその語を口にする者はいなかった。順番は薄れ、外れは外れとして散らばり直した。薄れるのが早い、と課の者は言う。言われるままにしておく。薄れたものが消えたわけではないことは、末広町の地面がいつも証明している。灯番号 T-20260720-02、以上。記録の末尾に、いつもどおり一行だけ空けておく。

わたしはこの記録を三度読み返した。一度目に、管理人の氏名を書き落としているのを見つけた。二度目に、一度目で直したはずの箇所が直っていないのを見つけた。三度目には、二度目が無かった。

課の三階の給湯室の電球が切れたまま、二週間になる。まだ誰も申請していない。

この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは関係ありません。

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