タグ: 語現体(3 / 3)
  • 2026年7月20日 / 夕の話

    まだ、が一枚多い

    同じ日に同じ形で、大勢が違う願いを書く。翌朝、三百枚の短冊はどれも『まだ』の一行で切れていた。そばに立った女の子の言葉も、途中で『まだ』に変わり、その先が出てこない。

    語現体短冊反復

  • 2026年7月20日 / 朝の話

    良かったことにされた一区画

    七月十三日、末広商店街に貼り紙が一枚。その語を口にした者から、顔の細部が均されていく。四日目、八百屋の主人は隣の店主と見分けがつかなくなった。

    語現体末広商店街記念日看取り

  • 2026年7月18日 / 夕の話

    三度目だけが決まる

    一度目は外れる、二度目も外れる、三度目だけが決まる。失敗は三度目への支払いだ、と人は信じた。順番を数えなかった管理人の一度目が、いつ始まったのか、誰も知らない。彼はまだ払っている。

    語現体末広町看取り

  • 2026年7月18日 / 朝の話

    コマとコマの間

    枠と枠のあいだの白い帯に、描かれなかった一瞬が返ってくるという。あいだは空だと正しく知っていた講師は、片足を上げたまま、いまも通りを渡り終えない。

    語現体末広商店街漫画の日看取り

  • 2026年7月17日 / 夕の話

    笑っていると思われた顔

    雨あがりの硝子戸に、朱い顔が一つ浮かんでいた。橋の上の誰もが笑っていると言い、作った者だけが躊躇いだと言った。笑わされた子供の口の端は、二度と下がらなくなった。

    語現体鴇江川看取り

  • 2026年7月17日 / 朝の話

    初日のままの町

    商店街の入口に、鍵を持ったまま固まった男が立っていた。初日は始めなくていい日だと、誰もが言う。パン屋の娘は二日目を待ったまま、椅子から立てなくなっていた。

    語現体末広商店街休日看取り

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