作品一覧(4 / 4)
  • 2026年7月20日 / 朝の話

    良かったことにされた一区画

    七月十三日、末広商店街に貼り紙が一枚。その語を口にした者から、顔の細部が均されていく。四日目、八百屋の主人は隣の店主と見分けがつかなくなった。

    語現体末広商店街記念日看取り

  • 2026年7月19日 / 夕の話

    ちょうどの分だけ好きな街

    常連の父親が、娘を「まあ、かわいい」としか言えなくなった。半年前は「この子のためなら死ねる」と言った人だ。街から、好意を大きく言う手立てだけが、静かに抜き取られていく。

    計量誇張

  • 2026年7月19日 / 朝の話

    半分だけが友達

    帳場の見知らぬ客は、右半分が親切で、左半分が悪口を言う。正しく意味を説いた新人は、その日から半分だけの人になった。左から呼んでも、もう振り向かない。

    商店街来客伝聞

  • 2026年7月18日 / 夕の話

    三度目だけが決まる

    一度目は外れる、二度目も外れる、三度目だけが決まる。失敗は三度目への支払いだ、と人は信じた。順番を数えなかった管理人の一度目が、いつ始まったのか、誰も知らない。彼はまだ払っている。

    語現体末広町看取り

  • 2026年7月18日 / 朝の話

    コマとコマの間

    枠と枠のあいだの白い帯に、描かれなかった一瞬が返ってくるという。あいだは空だと正しく知っていた講師は、片足を上げたまま、いまも通りを渡り終えない。

    語現体末広商店街漫画の日看取り

  • 2026年7月17日 / 夕の話

    笑っていると思われた顔

    雨あがりの硝子戸に、朱い顔が一つ浮かんでいた。橋の上の誰もが笑っていると言い、作った者だけが躊躇いだと言った。笑わされた子供の口の端は、二度と下がらなくなった。

    語現体鴇江川看取り

  • 2026年7月17日 / 朝の話

    初日のままの町

    商店街の入口に、鍵を持ったまま固まった男が立っていた。初日は始めなくていい日だと、誰もが言う。パン屋の娘は二日目を待ったまま、椅子から立てなくなっていた。

    語現体末広商店街休日看取り